近頃、オレの身の回りが変だ。
生活環境とか・・・そーいうモンが変わったんじゃねぇよ。
警視副総監の祖父さんに周りはヘコヘコしてるし、その孫のオレに大人たちが愛想笑いを浮かべる。つまんねー世界さ?
まぁ、その分オレが好き勝手出来て楽だけどな。
だけど。
そいうんじゃねぇ。
なんて言えば伝わるんだろう。
いや、こんな思い誰かに言う訳ねぇけど・・・
おかしいんだよ。
それはたとえばよくつるんでる滝沢や江守、清一郎がそうで。
表情が、変わった。
--真っ直ぐな視線。
行動が変わった。
--かけなくなった迷惑。
言動が変わった。
--オレを「ショウガナイナ」と諌める言葉。
それは本当に微妙な変化で。
大人たちは気付いてねぇけど。
「なんなんだよ・・・。ワケわかんえんぇよ」
ムシャクシャする。
そしてこの頭の薄ぼんやりとした感覚。
すべては〈コクーン〉を体験してからおかしい。
いや、〈コクーン〉の後からおかしいんだ。
オレはコクーンでの記憶を覚えてない。
最後まで残った1人のうちだったと聞いても、全然ピンとこねぇよ。コクーンに入って、次に気が付いた記憶は、揺り籠の様なコクーンのカプセルの蓋が開いた時。
滝沢が笑いながらオレをどつく。
「やったな! 諸星!!」
江守も大はしゃぎで色々と語る。
清一郎が嬉しそうに、
「ゲームオーバーになった後も、ずっとみんなの行動が見れてたんですよ? 諸星君かっこよかったです」
「・・・・覚えてねぇ。コクーンで何があったんだ?!」
3人の残念そうな顔。思い出すと更に頭に霧がかかったようにモヤモヤする。
そんな顔すんなよ!?
覚えてねぇのはオレのせいじゃねぇだろ?!
叫びたくて、止めた。
コクーンの事なんかこっちから忘れてやるさ。
そう思ったんだ。
だけど3人はどんどん変わっていく。
認めたくないけど〈成長〉してたんだよ。
オレは置いていかれて。
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