The phantom of summer

*HEIJI

 

まだよう理屈はわからんけど。
お前の手は絶対離さへんから、な。

 

『平次のアホっっ!!』

 なんでケンカしたかなんて理由はもうわからない。
 それはたぶんきっと些細なこと。
 いつものこと。

「なのに、なんで・・・」

 和葉と丸一日口を聞いてない。

 


 見上げた部活帰りの空は、ちょうど明るいオレンジ、夏の夕暮れ空。
 和葉が好きそうな色や。
 
 そう思って、和葉の事を思い出してため息がこぼれる。

「オレにどうしろっちゅーねん」
 ざっと、地面の石を蹴ってみる。
 浮かんでくるのは今日一日の事。

 合わない視線。
 交わされない会話。

 いつもだったらどちらか必ず折れるけど。

 けど。

 そんで。

「・・・・そんで何や、オレ」

 和葉が隣にいるのが当たり前だったから。

「環境が変わって少しおかしいだけや」

 考えるだけ無駄やろ
 はぁとついたため息は、右手で覆った顔の下で消えた。

「アイツ。目ぇ合わせへんし、言葉も交わさへんクセして・・・
 何が言いたかったん?」

 ほんの一瞬だけ合う瞳。すぐにそらされた目は、そらしたクセに自分に何かを訴えているように見えた。

「あ〜・・・。色々考えるのは今はナシにしよ」

 和葉は大事な幼馴染みや。
 これ以上考えるとなんや余計に頭が混乱する気がする。

 

考えてしまったら。

今の関係を壊してしまいそうだ。

壊したくて。

壊したくなくて。

 

 そして、今はまだ謎にしておきたいオレがいる。

 「・・・しゃーない。電話しよか」

 

まだ今の関係で、甘えさせといて。
ゆっくりキモチ育てさせて?

まだよう理屈はわからんけど。
お前の手は絶対離さへんから、な。

 

 

「あ〜、和葉? 平次やけどなー」

 

END?

 


「GARNET CROW」の「夏の幻」を聞いていて浮かんできたネタ。平次編デス。
和葉編と関連性を持たせていたら、あんまり詩の方と関連性がなくなってしまいました。
なんかこう、とことん恋愛から疎そうな平次に仕上がったというか、なんというか(汗)
がんばれ、和葉ちゃん!!

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