The phantom of summer

*KAZUHA

 

とまどいながらでもええから。
つないだ手を離さんといて、な?

 

『平次のアホっっ!!』

 なんでケンカしたかなんて理由はもうわからない。
 それはたぶんきっと些細なこと。
 いつものこと。

「なのに、なんで・・・」

 平次と丸一日口を聞いてない。

 


 バフと仰向けに布団に寝転がる。
 ちらりと横目に入る窓からは、明るいオレンジ、夏の夕暮れ空。

 
(すぐに謝ればいいのに。すぐに声かければ終わることなんに)
(平次から逃げてる? 平次が自分を避けてる?)

 
 いつもは楽しいはずの学校も、今日は苦しかった。
 すれ違う無言の2人がイヤだった。
 いつもだったらどちらかが必ず折れるけど。

 けど。

 

「考えるだけ無駄やなぁ・・・」
 はぁとついたため息は、両手で覆った顔の下で消えた。
 そして『自分達』の微妙な関係を思って苦しくなる。

「・・・へいじ。アタシ達ずっと幼馴染なん・・・?」
 友達より近くて、兄弟より近くない、微妙な距離。
 恋人より近くて遠い距離。

 

瞳を閉じたら、平次の顔がなぜだか浮かんできて、涙が零れた。

 

「居心地が良すぎて、壊せないんよ・・・」

 ずっと平次と一緒に歩いてきたから、今の【幼馴染み】という関係が壊れるのが怖い。
 今の居心地に浸かり過ぎて動けなくなってしまった。
 壊れたらどうなるか、考えるのが怖い。
《だったらずっと今のままでいいんと違うの・・・?》
 もう一人の自分が囁く。

「それも嫌やなぁ」
 言葉が勝手に零れて、自分のワガママさに思わず泣き笑いをしてしまう。

 

 平次と一緒にいたい。
 平次と同じものを見ていきたい。
 ワガママで自分勝手なのはわかってる。

・・・平次が、スキ。

 

 そう思うようになってから、平次の傍にいるのが苦しくなった。
 こんな自分、気が付かれたくなかった。

 今回のケンカはキッカケにすぎなかったにちがない。
 自分の表に出さない気持ちが、表に出てきてしまった。

「平次に声かけられへんよ・・・」

  
 

今の関係を壊してしまいそうだ。

壊したくて。

壊したくなくて。

 


PiPiPi.....

 

 突然ケイタイの着信音が部屋に鳴り響く。
 がばっと布団から飛び起きてケイタイの着信者名を見る。

 

【発 アホ平次!】

 

「ぷっ、あはははは!!」
 自分で変更しておいて笑ってしまう。
 ゲンキンな自分がおかしい。

 そうして、今まで悩んでいたこと全て吹き飛んでしまった気分で、アタシは通話のボタンを押した----。

 

 

まだ今の関係で、甘えさせといて。
ゆっくりキモチ育てさせて?

とまどいながらでもええから。
つないだ手を離さんといて、な?

 

 

「もしもし、平次? いっつも連絡遅すぎや!!」

 

END?


「GARNET CROW」の「夏の幻」を聞いていて浮かんできたネタ。
和葉ちゃんに「手ぇ離さんといて、な?」とか言われたらヤバイというネタから(笑)
↑自分達のほうがヤバイ。
あ・ちなみに自分はバリバリの群馬女なので、大阪弁はニセモノです。
ステキに本物に訳して読んでやってください。
この詩は前半は和葉ちゃん、後半は平次を浮かべて歌詞を聞くとモエます。

BACK

 
 
 

 
 
  
 
 
  
 
 
 
 

 

 

 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送